院内スタッフで対応可能!初診患者を増やすための対策と注意点すべて

初診患者を増やすための対策と注意点のすべて集患
この記事は約22分で読めます。

なかなか集患状況が安定しない。

必要と言われてきた営業や広報活動は進めてきたのに、一向に初診率が向上しない。

何とかして初診患者を獲得しこの状況を打破し、運営を安定させる方法を知りたいと悩んでいないだろうか。

ここでは自院の運営を安定させるために、すぐ実行できる初診患者を増やす取組をすべて紹介している。

紹介している取組を丁寧に進めていけば、集患状況を安定させることだけでなく、初診患者を増やす考え方の本質を理解する事にもつながる。

なぜなら、稿で紹介している取組を学ぶことは、なぜそれら取組をしなければならないのかを理解し、医療施設の運営に対する意識の変化させることも意味するからである。

集患対策のベースはしっかりした意識の件かが必要

集患対策における一番のポイントは医療サービスにも営業やマーケティングが必要であるという認識を持てるかどうかであり、ここではその認識を本質から理解できるよう説明をしている。

大変な意識改革を伴う事になるが、これを終えた時には表面的な集患対策ではなく自院にとっての一番大切な集患対策ができているはずだ。

具体的な取り組みなども交えて示していきたい。是非、何度も読んで血肉に変えてほしい。

1.自院にとって適正な集患対策の優先度を決める

初診患者を増やし初診率を向上させることによって運営を安定化させるためには、まず以下二つの視点を持ち、自院にとって適切な方法を実施するという視点を持つことが重要だ。

  • 患者が自院へ来院するまでの行動を理解し、自院に合った対策を決める
  • 1日来院患者数と初診率の目標値を設定し、自院の状況を把握する

なぜなら、自院にとって適切な方法を進めなければ集患対策は自院のスタッフへの過剰な負荷が伴うことにつながるからだ。

たとえば、スタッフ一人当たりが対応できる患者数や時間数を把握しないまま集患対策を実行してしまうと、その結果新患患者は増患する一方で、スタッフ一人当たりが抱える業務量が急激に増えてることにつながる。

それは、患者接遇の質低下やスタッフが退職してしまうなどの影響を生み、最終的には運営リスクにつながるのだ。

急激な集患対策の結果スタッフへの業務負荷がふえてしまう

また、集患対策という点でも、マイナス面が生じてしまうだろう。

一つ例を挙げると、一人の患者にどれくらいの時間、丁寧な接遇ができるかによって、患者満足度に影響があるという指標が、受療行動調査の調査結果でわかっている。

令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況 より

もし、スタッフの雇用が追いつかないまま一日の対応患者人数が急激に増えてしまったら、少ないスタッフで多くの患者を対応することになる。

一人当たりにかけられる時間も減ってしまい、患者満足度が低下することになる。再来患者の獲得にとってはマイナスな影響になってしまうのだ。

だからこそ、以下図のような二つの視点を持ち、自院に合った適切な集患対策を実施する指標をもつことが大事なのだ。

BM比較とAISASモデルの要素が重なるポイントを探ろう

ここでは、AISASモデルと呼ばれるマーケティング手法の1つを使いながら、患者が自院へ来院するまでの行動を理解し、自院に合った対策を決める方法と、全国平均値をベンチマークとして一日来院患者数と初診率の目標値を設定し、自院の状況を把握する方法を説明していきたい。

AISASモデルから患者が自院へ来院するまでの行動を理解し対策の優先度を決める。

AISASモデルは、Attention(注意)⇒Interest(興味)⇒Search(検索)⇒Action(行動)⇒Share(共有)の5つの英単語の頭文字から名づけられている。

AISASモデルのイメージ図

五つの要素は顧客(患者)の行動に当てはまる。それぞれは、注意からはじまり興味を持ち、検索によって調査をし、そして行動を起こす。その結果を口コミという形で他と共有するという顧客行動を示している。

このAISASモデルを患者の行動モデルに当てはめたのが以下の図になる。

それぞれの要素に対応する集患対策を行う必要がある。要素を左から右へ移動させていくことによって来院する患者が増え、運営が安定していく。

この表に自院の状況を当てはめることによって、どこの要素を強化すればよいのか整理することができるのだ。

AISASモデルの各要素に対する集患対策

では、どうすれば自院の状況を当てはめることができるのか。

その答えは、初診率と一日の集患目標値のベンチマークの設定、そして自院の現状との比較によって大きく4つの対策に分類することの2つを知ることだ。

さっそく、初診率と一日の集患目標値のベンチマークをどう設定するのかを示し、次に数値をどう判断し四つの対策に当てはめるのか説明をしていく。

初診率と一日集患目標値のベンチマークを設定する

まずは、全国平均値の初診率と一日の集患目標値は以下の数値をベンチマークとして設定しよう。

この数値は厚生労働省の「社会医療診療行為別統計」と同省の「医療施設調査」の二つの統計調査から計算したものだ。具体的な調べ方も示していく。

全国平均値を当面のベンチマークとして設定する。

1か月の延べ外来患者数9450万人を全国の診療所数である10.2万施設で割り、1施設当たりの一か月述べ外来人数を算出する。さらに、一か月の稼働日、21~25日で割ることで、1日当たり外来者数が44~37人が算出できる。

ここでは、1日の来院者数平均で40人程度として、初診率10%をかけると、初診患者4名、再来患者36名となる。

1か月の延べ外来患者数9450万人の調べ方

ここでは、令和2年社会医療診療行為別統計:初診・再掲の診療実日数を述べ人数と仮定している。以下の統計データの箇所を参照してほしい。

科目別の延べ外来人数も確認できるので、必要に応じて計算してみてほしい。

令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況
令和2年社会医療診療行為別統計:初診・再掲の診療実日数 より
全国の診療所数の調べ方

ここでは、令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況内の「一般診療所」を施設数と仮定している。以下の統計データの箇所を参照してほしい。

施設の種類別にみた施設数
令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況 より

また、月100万程度の利益を求める視点からも1日40名、10%初診率は目標値として設定されることが多い。

1日40人(初診率10%) × 5000円(診療単価) × 25日(1か月の稼働日)×20%(税引き後利益率)で求めることができる。

月100万程度の最終利益を得るための必要外来患者

参考までに、科目別の初診率を以下に示しておく。参考にしてほしい。

科目外来患者延数初診患者数初診率
総数190,772,16827,289,56014.3%
内科55,863,9906,578,30211.8%
呼吸器内科724,11687,93212.1%
循環器内科2,981,884220,9667.4%
消化器内科(胃腸内科)4,705,086543,17811.5%
腎臓内科847,58816,6122.0%
神経内科546,59045,7528.4%
糖尿病内科(代謝内科)887,75657,4286.5%
血液内科23,2526,69628.8%
皮膚科5,595,7421,340,90224.0%
アレルギー科131,99823,60217.9%
リウマチ科346,75221,3566.2%
感染症内科14,4963,08821.3%
小児科6,326,7361,557,47624.6%
精神科4,622,528172,4303.7%
心療内科1,018,67049,0084.8%
外科4,921,110474,2929.6%
呼吸器外科4,0141102.7%
心臓血管外科65,6029,98015.2%
乳腺外科248,46461,85424.9%
気管食道外科25,1644,33017.2%
消化器外科(胃腸外科)370,81034,2629.2%
泌尿器科2,583,438352,00613.6%
肛門外科329,03055,82617.0%
脳神経外科2,362,940299,37612.7%
整形外科29,447,1322,696,9749.2%
形成外科535,160110,47220.6%
美容外科244,64458,39023.9%
眼科868,688150,09417.3%
耳鼻いんこう科5,035,7161,305,34225.9%
小児外科32,1783,58011.1%
産婦人科1,812,600252,72413.9%
産科360,69239,19810.9%
婦人科779,026100,72612.9%
リハビリテーション科151,0708,7265.8%
放射線科176,49086,65649.1%
麻酔科525,83242,9368.2%
臨床検査科1,4461,40697.2%
救急科9,5183,22633.9%
歯科175,53231,02817.7%
矯正歯科2506224.8%
歯科口腔外科2,18043019.7%
単科550662581038082618.9%
医療施設調査 / 平成29年医療施設(静態・動態)※一般診療所数;外来患者延数,診療科目(主たる診療科目)・二次医療圏別よりデータを抽出

もちろん、日に100人以上来院するケースもあるし、初診率が5%などでも適正な施設運営が成立しているケースはある。

しかし、こういった数値は継続的に運営を続けてきた結果の最適解であり、はじめに目標値として設定するのは向いているとは言えない。

さらに言えば、ここで重要なことは正確なベンチマークを検討することではなく、自院の状況に適した初診患者増加などの集患対策を明確にし、行動をすることである。

ベンチマークは集患対策や運営の状況に応じて適時修正を加えていけば良い。

集患対策の優先度を決める

AISASと初診率、外来数の対比、右側に行くにつれ効果が早く表れる

全国の施設ベンチマークと自院の状況を比較することで、集患対策のどこが問題なのか見えてくるだろう。そうなると、できる対策はすべて進めたくなるが、優先度を決めて効果的な取り組みを進めていかなければならない。

なぜなら、限られたスタッフ、集患対策に充てられる時間、そして使える予算の中で過剰な負荷をかけずに自院の状況に合致した適正な成果をあげていかなければならないからだ。

ベンチマークと自院を比較した結果以下四つの状況が想定される。それぞれのケースにおいて、対策の優先度をどう進めていくのか具体的に紹介していこう。

  1. 初診率、1日外来患者数両方がベンチマークより低い場合の対策優先度
  2. 初診率がベンチマークより引くい場合の対策優先度
  3. 1日の外来患者数がベンチマークより低い場合の対策優先度
  4. 初診率、1日外来患者数の両方がベンチマークと同等、もしくは上回っている時

初診率、一日の外来患者数両方がベンチマークより低い場合の対策優先度

初診率、外来数両方がBMより低い

両方の数値がベンチマークより低かった場合は、まず再来患者対策を進め、一日の外来患者数を改善させることを優先的に進める。

なぜなら、再来患者が増えない理由をそのままにして、初診率の対策先に進めても、初診患者が継続する可能性は低く、いつまでも安定しないからである。

また、再来患者対策は既存の外来患者数が増加することはないため、急激な業務負荷が発生することはないのも大事な点である。

こういった理由からも、両方のベンチマークが低かった場合は、最優先で再来患者対策を実施し一日外来患者数が安定的に増加する取り組みに特化すべきだ。

そして、一日外来患者数がある程度の数字になってきたところで、スタッフの業務量を調整しながら、初診率の改善に目を向けるのだ。

初診率がベンチマークより引くい場合の対策優先度

初診率がBMより低い場合

初診率がベンチマークより低い場合は、AISASモデルの注意、関心、検索、行動を促す施策を通じて初診患者増加の取り組みを強化する

その際、以下二つのどちらが課題となっているのかを把握することがポイントだ。

  • 医院の事を知らない
  • 医院の事は知っているが、来院するきっかけがない

医院の事を知らない人に対していくら病気の勉強会等を告知したところで誰も興味を持たない。

一方、医院の事を知っている人に対し、地域新聞などで医院の広告を打ったところで何の行動も促せないだろう。

だからこそ、初診率を高めるためには、二つのどちらが課題になっているのかを把握して、適切な施策を行う事が必要なのだ。

一日外来患者数がベンチマークより低い場合の対策優先度

初診率がベンチマーク程度である一方、外来患者数が伸び悩んでいる理由は再来患者が伸びていないケースが想定される。再来患者の対策を検討する場合、二つの視点で課題を整理することが必要だ。

  • 受付、接遇、診断などのソフト面での対策
  • 設備、張り紙、清掃状況などのハード面での対応

初診率の対策と同様に適切な問題を把握しなければ適切な施策を行うことは難しい。患者満足度調査を実施することで、どちらの面で課題が存在するのかヒントを得ることができるため積極的に導入をしてほしい。

初診率、一日の外来患者数の両方がベンチマークと同等、もしくは上回っている時

両方がBMを上回っている

現在、ベンチマークと同等の集患状況を達成している場合であっても、常に地域医療のニーズを収集し戦略を構築し変化を続けていくことが必要だ。

自院の所属する診療圏にいつライバル施設が開設されるかわからない。また人口構成も変化していくこともリスクとして捉えておきたい。

環境変化が起きた時に焦ることがないよう定期的に診療圏内の動向を抑え、診療方針をニーズに合わせていくことが重要だ。

一日の外来患者総数を安定させるための再来患者を増やすための対策

外来患者総数に対する再来患者と初診患者の内訳

一日に外来で来院する患者全体の約8~9割は再来患者が占めており、初診患者は1割程度に過ぎない。大半を占める再来患者をいかに増やすか。これから、その答えを紹介していくが、そのすべてを同時に対応していくことは不可能だと考えてほしい。

なぜなら、患者は医院に足を踏み入れた時から、受付、問診・診察、検査、処置、会計、待ち時間もふくめすべての瞬間で継続するか、次は来院するかどうかを判断しているからだ。

少ないリソースを効率よく活用して対策を進めていくためには、効果の高い施策を優先的に進めることが大切だ。

過去にこれら対策を同時に進めてしまったことで、急激な資金繰りの変化、スタッフへの業務負荷が発生し運営が不安定になってしまったケースがあった。

もちろん、打てる対策はすべて実施していきたいが、自院の状況に合わせた適切な範囲で進めていくという意識をもってほしい。

優先度を決めるためには患者満足度調査を実施し、患者の声を集めた上でニーズの高い意見から優先的に進めるとよい。その際、医院のハード面なのか、ソフト面なのかを切り口として情報を整理すると費用対効果を検証しやすくなる。

ここではハード面、ソフト面での対策と、それらの問題が発生してしまう意識のズレを説明していきたい。今までは当たり前だと思っていた視点が患者目線では異なった認識になっている事をしっかり理解してほしい。

ハード面の再来患者対策

医療従事者と患者での清潔性に関する認識のズレ

医院のハード面での対策は、清潔性を高める視点で検討を進めることだ。

実は清潔性については認識のズレは多く発生している。医療従事者は一般的に病院やクリニックは不潔な場所が多く、意識的に滅菌や消毒をするという考えであるが、一般の人たちは病院やクリニックはきれいな場所というイメージをもっているのである。

そのため、スタッフが気にするほどではないちょっとした汚れと思っている事も患者からすれば汚い不潔な医院だと認識されてしまうのである。

ここでアンケート結果としてよく見かける項目を紹介していく。自院の状況に当てはまる場合は改善を進めたい。

対応箇所具体例
院内環境整備掃除がされていない、古い雑誌がある、椅子や窓が汚い、トイレが汚いなど
院内掲示物掲示物の文字が小さい、専門用語ばかりでわからない、カタログが汚いなど
スタッフのユニフォーム汚物、血液が落ちていない、手袋など使いまわしているなど

ソフト面の再来患者対策

昔は医院を開設すれば何もせずとも患者は集まり、継続して来院してくれた。しかし、今は以下二つの変化があり、患者も医院を選ぶ時代となった。

  • 医療施設の乱立、人口減少により競争が発生した
  • インターネットの普及により医療の質が評価、共有化されるようになった

これらの変化に伴い、再来患者を増やすためには医院側が患者に選ばれる必要があり、そのためには二つの取り組みを求められるようになったのだ。

二つの取組
  • 次に来てもらう理由を用意すること
  • 他の医院と比較しても満足してもらうサービスを提供すること

早速、具体的な対策を示していきたい。

次に来院する理由を用意する

再来患者を増やすための取り組みとしては特に代わり映えしない内容かもしれない。

しかし、非常に重要な事なので意識を新たに仕組みとして次に来院するための何か・・を用意することが重要である事を示しておく。

患者はよっぽどの事がなければ定期的に医療機関へ通う事はしない。したがって予防や未病の観点で定期的にメンテナンスに行く意識を患者の主体性に任せていると継続的な来院は望めない。

なぜなら、医療施設へは体調が悪くなった時、最低限の回数だけ通うというのが基本的な行動原理であり、医療施設は体調が悪くなった人が行くというネガティブなイメージを持っているからである。

だからこそ、再来を促す取り組みを仕組みとして用意しておくことが重要なのだ。以下は再来を促す仕組みとして導入しやすいものを示していく。

  • DMで予防注射、花粉症などのタイミングでアプローチをする
  • 診断時、会計時などに次回来院日程の予定を決める。
  • 一定期間来院されない患者への電話での容態確認
  • 患者の健康管理を具体的な治療・検査計画を作る

これらの中でDMや電話でアウトリーチをかける際に注意してもらいたいことがある。

接触先が患者以外の家族や友人などに届かないよう細心の注意を払う事だ。

特定の科目では患者本人が通院している事実を他人に知られることを恐れているケースもあるからだ。たとえば美容外科、産婦人科などはそういったトラブルが起こりやすい。

確実に本人にだけ問い合わせが届く方法を取ることを心掛けたい。

他の医院と比較しても満足してもらうサービスを提供すること

誤解を恐れずに言えば、医療は接客業である。接客業としてのサービス提供という視点を持つことが非常に重要な対策なのだ。

もちろん診療内容の充実は大前提ではあるが、それはあくまでも満足のスタートラインでしかない。

実際に受療行動調査からも診療時間によって患者満足度の変化があることが示されてことからもサービス提供という視点が大事であることが説明できる。

たとえば、診療結果が同じ場合に説明はせず処方だけする医師と患者の症状をじっくり聞いて、目を見ながら診断内容を説明し処方する薬の服薬注意などを示す医師がいたとしたら、確実に後者の方が満足度は高い。

満足度を高める工夫の有無によって患者満足度に差が生じる

このように同じ診療行為を提供するにしても、満足度を高めるための取り組みを加えることが重要なのだ。

以下は再来を促す仕組みとして導入しやすいものを示していく。

取り組みの視点詳細
一人にかける時間は最低でも10分をめどにする診療時間に10分程度時間をかけると満足度が高い
スタッフの接遇対応を高める受付や看護師などの患者接遇の質により満足度が高くなる
看護師のスキルの重要性医師に自分の事を直接質問できる患者は少ない。そういった不安を解消できるのが、身近な看護師であり、積極的にコミュニケーションをとることで患者満足が高くなる
患者の待ち時間への意識、対策をしている施設は少ない患者を待たせることは当たり前ではない。何かしらの社会活動を犠牲にして限られた時間で来院しているという視点を持ち、受付システムや待合室での情報提供を説教的に行うなど充実した時間を過ごせる取り組みを検討することが必要だ
医師の経歴を紹介、名刺などは口コミのきっかけにつながるこれから自分の健康を守ってもらう医師がどうゆう人なのか、患者は不安を持っている。それを解消してあげることによって安心して通院を継続するのだ。また、医師が初回診察の際に名刺を渡すのは強い体験となり口コミにつながりやすい

新患患者を増やし初診率の向上を図るための対策

初診患者を増やすためには、AISASモデルでは「注意」「興味」「検索」そして「行動」の順でステップを進めていく取り組みを用意する。

AISASモデルと取り組み例
再掲:オレンジ色の項目が初診患者対策

この四つのステップは大きく以下二つの視点を持ち、具体的な対策に落とし込んでいく。

注意、興味、検索のステップ認知:知ってもらうこと
行動のステップ来院:お試しできてもらうこと

認知を高めるための取り組み

認知を高めるという事は、言い換えると「自院の存在を知ってもらい、そして記憶してもらう」ことである。ただ知ってもらうだけでは意味がない。重要な事は記憶してもらうことである。

なぜなら、医療施設に行こうと思う時は、予定していつか行ってみようと悠長に構えているものではなく、大体において突然、それも緊急的に行く理由がでてくるものだからだ。

たとえば、急に熱が出た。骨が折れた。など突然体の不調に気づき、医療サービスの必要性を感じるのである。そんなタイミングでどこの病院に行こうかと検討をしている余裕はない。ふと思い浮かんだ医療施設に行くことになるのだ。

自院の存在を知ってもらい、そして記憶してもらうことよって、来院する理由が生じた際に思い出してもらえるような施策を用意することが重要なのだ。

では、どうすれば記憶してもらえるのか。

答えは「頻度」である。記憶は接触頻度によって定着し強固になるからだ。そして、認知対策の肝は患者との接触頻度を如何に増やしていくかという点で進める。

ザイオンスの熟知性
ザイオンスの熟知性のイメージ

「見つけてもらう」ためには、接触する機会を増やす必要がある。

しかも接触回数が多ければ販売機会の拡大にもつながりやすい。このことはザイオンスの熟知性の法則として学術的にも有名だ。

この法則を簡単に説明すると、接触機会が多ければ好感度は上がるというもので、広告業界ではセブンヒッツ理論とも呼ばれている。

たとえば、以下のような認知向上の取り組みがある。

  • 朝の出勤時間に医院の前で掃除をする。地域住民との接触頻度を増やす顔を覚えてもらう。
  • 自院の資料は2部渡す。本人用、家族や紹介用として渡す。
  • 駅看板、電柱、野立て看板、HPなどの広告
  • 内覧会
  • 警察、消防、介護サービス事業者など行政や公共サービスとの接触
  • 商店街、自治会報での地域コミュニティー紙へのコラム提供、市役所や社会福祉協議会などにいけば市民の集まりがあるので積極的に営業をしてネットワークを築いていく

上記のような取り組み以外でも地域や患者との接点を増やせる取り組みがあれば積極的に進めていくべきだ。それらが積み重なり、頻度が一定を超える事により認知が高まるのだ。

しかし、認知向上の取り組みとして以下二点には注意をしてほしい。認知向上だからとなんでも取り入れたらいいというわけではない。自院の診療圏をターゲットに、そして地域の顔として認知してもらうという視点をもって取り組みをしてほしい。

・ウェブや広告に頼りすぎない。あくまでも接点の一つでしかないのだ。高額な費用をかけてまで進める必要なない。事実、簡素なHPや最低限の広告でも地域で信頼を勝ち得ている医院はたくさんあるのだ。

・広告を打つ場合は診療圏外を対象にしても効果は望めない。適切な範囲に適切な量の広告を出稿することを意識したい。

お試しで来院に促し初診患者を増やすための対策

医療施設に行こうと思う時というのは、大体において突然、それも緊急的に行くものであることは説明した通りだ。だからと言って、認知の取り組みだけをしたら、来院を待つというのは得策ではない。

病気でなくても、医療施設に行く理由は施設側で提案したらいいのだ。

たとえば、予防注射や定期健康診断などがその例である。これらをきっかけにして通院をするケースもあるのだから。

それ以外にも、以下のような医療施設に行く理由を考えることができる。

  • 薬局や医薬品メーカーと共同で疾病や薬などの勉強会を企画し地域の住民に参加してもらう
  • 患者と医療施設との交流会やお試しで健康相談などを企画して参加してもらう
  • 朝早く、夜遅く、土日祝日など仕事等で通院が難しい方が来院しやすい診療時間を設ける

こういった病気以外でも来院する理由をつくればお試し来院を促すことはできる。

以下は実例として参考になった考え方を示す。来院の企画を考える上で参考にしてもらいたい。

勉強会などの健康に関する集会などを企画する際、今話題になっているニーズなどを取り扱えば効果が高くなる。題材として、定期的にテーマを見つけるのにも優秀なのはNHKの「きょうの健康」を活用しよう。

既に取り上げられているテーマであるため、自院で告知をしたときの反応率が高くなるのだ。

安定した初診率の向上のためには継続的に活動を続ける仕組みを作る

初診率、一日の外来患者数の両方がベンチマークと同等、もしくは上回っているからといっても集患対策を何もしないのではなく、中長期的な視点に立ち自院の運営が継続していくための取り組みを続けていくことを意識してほしい。

たとえ今の集患状況が安定しているからといっても、診療圏内でメディカルモールが開設されたり、地域の人口が減ってしまい市場が小さくなってしまうことも可能性としてはゼロではない。

こうした医療ニーズの変化の芽を早い段階で発見し、自院のポジションを適宜変化させていくことによって結果として自院の運営が継続していくことになるのだ。

継続的なニーズ調査の実施プロセス例
  • ステップ1
    自院に来院している患者データから診療圏を洗い出す

    レセコン、電子カルテを用いて自院の患者住所を抽出し地域の地図データにプロットしてゆく。地図データはgooglemap等無料のもので十分だ。

    プロットが完成した地図を観ると自院の患者がどのエリアに多いのか一目瞭然となって表れてくる。

  • ステップ2
    統計データを用いて診療圏内の年齢・人口動向と予測を立てる

    地域の診療圏内の需要予測を行うためには以下2つのデータを活用すればよい。

  • ステップ3
    患者調査データの疾病別の需要データに地域の診療圏の人口構成でかけ合わせて需要を作る

    医療需要の分析には様々な方法があるが、弊社では厚生労働省の「患者調査」を活用して予測を立てることが多い。

    患者調査:平成29年(2017)患者調査の概況

    まず、過去のデータにおける年齢別医療需要を構成比で把握する。それを将来年齢構成で掛け合わせることで簡易的な将来予測とする。

    将来の需要データはあくまでも大雑把な方向性を把握する程度で十分であり、細かい条件は計算を用いた分析をしたところで時間と費用の無駄である。自院のリソースでできる範囲で十分なのだ。

  • ステップ4
    同一診療圏内のライバル医院の情報を収集して医療ニーズの網羅状況を把握する

    同一地域内の医療機関動向を探るには以下五つの方法で調べれば十分。

    • 地域の医療機関をgoogleで調べてリストアップし、それぞれの特長を整理する
    • DPC/PDPSにおけるMDC別患者調査データから対象地域の動向を探る
    • 厚生局のWEBから各種施設基準や加算の動向を調べる
    • 地域の医療計画に基づく病床の動向、方向性を把握する
    • 地域の有名ドクターの動向を把握する

    これらの調査によって当該地域ではどういった科目が強く、一方どういった科目が弱いのか。同時に診療ニーズもどこかが多く、どこが少ないのか、それぞれの推移を把握できる。

  • ステップ5
    診療圏内の需要予測を他院と自院の動向を踏まえて予測を立て将来的なポジションを探る

    自院の診療圏の状況、地域全体の医療ニーズ、医療サービスの網羅状況を比較することで自院がこれからも強みとできる領域、逆に弱い領域、これから伸びるニッチな領域の光を感じ取ることができる。

    そして、その光に少しずつ近づくために自院の経営方針を変化させていくのである。

以上のステップで定期的に自院の地域におけるポジションと診療圏全体での医療ニーズの過不足を把握し、将来的なポジションをどこに変化させていくかを検討してみよう。

成功している施設で実際に経験する

成功事例に直接ふれることが一番の近道

もし、自院の集患状況があまり良くなかったら、成功しているクリニックや地域の病院へアルバイトなどをする事も検討してみたら良いだろう。

実際に成功している取組を直接観ることができるだけではなく、運転資金を稼ぐ事にも繋がる。もし可能なら連携先として自院に繋ぐことで集患につながる可能性もある。

集患対策はトライ&エラーの繰り返しの中で少しずつ効果がでるコツが掴めてくるものだ。自院で効果を感じるまでの間のつなぎとしても他の施設で働くという選択肢は検討の価値がある。

自院の運営で忙しい中、適切な就労先を探すのは非常に難しいため、こちらのニーズをくみ取って就労先を探してくれる転職サービスなどを使って外注にしてしまうのがよいだろう。

まとめ

自院の運営を安定させるための集患対策はどのように考え、行動したらよいのかについてお話しした。初診患者、再来患者の増加、そして将来的にも安定した運営をするために必要な取組として以下を紹介してきた。

  • 自院にとって適正な集患対策を見極めること
  • 初診率を向上させるための二つの取り組みをすすめること
  • 再来患者を増加させるための二つの側面から取組をすすめること
  • 将来も安定した集患を達成するために続けること
  • 成功している施設で実際に働いてみること

これらの取り組みの通じるのは、自院の状況を知り、地域のニーズを知った上で両者の接点を以下に作るかというところだ。

それを理解するためのベースになるのがAISAS理論とデータの分析である。

なれない事が多いと思うが、一つ一つ是非意識して実践を重ねてほしい

HOSPITAL HACK編集部

中小の病院経営、クリニック運営に役立つメディアホスピタルハック”の編集を担当してます。趣味は読書と散歩、日々の中で感じた病院やクリニック経営に役立つ発見をしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

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